ベスパと言うと、「デザインはいいけど故障しやすい」とか「混合ガソリンで給油が面倒」とか「乗りにくそう」といった比較的マイナスなイメージを持つ人も少なくない。しかし、実はこういったイメージは「ヴィンテージシリーズ」という、今では生産されていない古式ゆかしいクラシックモデルにまつわるもの。現行モデルではこのような心配は一切無用だ。伝統のクラシカルなデザイン、航空力学から生まれたスチールモノコックボディーなど「ベスパの血統」を受け継ぎながら、最新技術をふんだんに採り入れて進化している。
ベスパはその独特のデザインが注目されがちだが、性能・乗り心地においても十分な満足を得られるスクーターだ。特に近年のモデルは、最新技術を投入し機能的に大きな進化を果たしている。「毎日乗るから操作性を重視したい」「普段の足としてはもちろん、ちょっとした遠出にも使いたい」といったニーズにも十分に応えてくれる。加速がスムースで、ちょっときつめのカーブに進入する際も自然な姿勢で進んでいける。ブレーキも輸入スクーターにありがちな「ガッ!」と効くようなものでなく、やわらかいフィーリングだ。「よく走り、よく曲がり、よく止まる」――実際に乗ってみれば、すぐにイタリアンスクーターの快適さを感じられるだろう。
第二次世界大戦後の不況下に「誰もが乗れる安価な乗り物」として、1946年に最初のベスパが誕生した。ベスパの開発にあたって課された条件をご存知だろうか。それは、「軽くて取り扱いが簡単」「サドルをまたがなくても乗れる」「衣類が汚れない」「女性も乗りやすい」など。担当したダスカニオ技師はこれらのオーダーに見事に応えてみせた。以来、コンセプトはそのままにモデルチェンジが繰り返され現在まで生産され続けている。