ベスパを知ろう!

世界的にベスパが注目されるきっかけになったのが、映画「ローマの休日」。王女役のオードリー・ヘップバーンと新聞記者役のグレゴリー・ペックがベスパに乗って観光地を巡るシーンは同作の名シーンだ。日本でも公開され、瞬く間に多くの人の憧れの存在になった。

そのベスパをより身近な存在にしたのは、1979年のテレビドラマ「探偵物語」。松田優作扮する工藤ちゃんが白のベスパ「P150X」を乗りこなす姿に憧れた人も多いのではないだろうか。これにより、日本におけるベスパの人気は再燃することになる。

ベスパが誕生したのは1946年。航空機や鉄道車両を製作していたイタリアのピアジオ社によって開発された。開発にあたり、当時の代表エンリコ・ピアジオは以下のような条件を出した。

・軽くて取り扱いが簡単
・サドルをまたがなくても乗れる
・衣類が汚れない
・女性も乗りやすい

これらの条件に見事に応えてみせたのが、設計を担当したダスカニオ技士だ。ベスパの大きな特徴として挙げられるスチールモノコックボディー。これは普通のパイプフレームの車体に比べ軽量で剛性が強い。スチールモノコックボディーによって「軽くて取り扱いが簡単」という条件がクリアされた。

また、車両自体をエンジンの容れ物にするとともに衣服や足元を守るコンパートメントにもすることで「衣類が汚れない」の条件もクリア。さらに、前方のタンクをなくし「サドルをまたがなくても乗れる」ようにするとともに、シートをエンジンから離して振動を抑えることで「女性も乗りやすい」ようにした。両脚を揃えて乗るスタイルやボディー前面で衣服の汚れを防ぐ形状は、以降のスクーターの原型になったと言う。

フロントのサスペンションにはタイヤ取り外しが容易な片持ちフロントサスペンションを採用。これは航空機の前輪タイヤによく使われる方式で、4つのボルトを脱着するだけで簡単にタイヤを入れ替えられる。ベスパは、ピアジオ社の航空機メーカーとしてのテクノロジーである「ダイレクトトランスミッション」や「スチールモノコックボディー」「片持ちフロントサスペンション」などの技術が随所に生かされた、他にはない画期的なスクーターなのである。

50ccから200cc、またスポーツモデルも生産され、世界114ヶ国で販売。ライセンス生産も行われ、現在でも世界中で愛され続けている。1950年代後半から日本にもベスパが輸入され、ヴィンテージシリーズをはじめ現行モデルに至るまで絶大な支持を誇っている。コンセプトと伝統はそのままに、「足」としての役割を大きく飛び越え、生活の一部・趣味の一部として選ばれ続けるベスパから目が離せそうにない。