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マラグーティ

マラグーティ社長 レアルコ・マラグーティ氏インタビュー

マラグーティ社長 レアルコ・マラグーティ氏の当店スタッフによる現地インタビューです。マラグーティのスクーター開発の過程や姿勢について語っていただいております。

レアルコ・マラグーティ社長 マラグーティはもう創立70年になるわけで、イタリア二輪メーカーの中でも長い歴史を持っています。ぜひいろいろなお話をお聞かせください。

レアルコ・マラグーティ氏(以下マラグーティ氏): もちろん、質問してくれれば何でも知っている事はお聞かせしますよ。

創立者のアントニーノ・マラグーティ氏の時代は自転車レーサーだったとお聞きしましたが。

マラグーティ氏: ええ、結構がんばってました、何回も優勝しましたし。でもあるレースでヒザを割ってしまい、自転車レーサーを諦めざるを得なくなりまた。それでレーサーとしての経験を生かしながら自転車を作り出す方に回ったのです。

マラグーティ社長 レアルコ・マラグーティ氏インタビュー

マラグーティ本社工場マラグーティ社が創立された70年前のイタリアは軍事立国という時代だったと言えます。そういう時期にこのボローニャで自転車を生産するのに何かメリットがあったのでしょうか?

マラグーティ氏: テリトリー・パワーとでも言えるものがここボローニャにはあるのです。今でこそ2輪も4輪も、自動機械も珍しくありませんが、それ以前からボローニャには膨大な経験と、機械への愛着が存在していました。加えて人間のパワーがあります。活気に満ちて、勤勉で、何と言っても器用ですからね。エミリア人は。

そのへんの底力は、今までの華奢なフレームに原動機を載せてバイクメーカーになる頃、つまり戦後復興期に一番のメリットを発揮したと思いますが。

マラグーティ氏: フレームは専門メーカーに処理させ、その後、溶接メーカーに持ち込むんでいましたが、もう持ち込むそばからチャッチャッと溶接していましたね。溶接機を握って、防護メガネをかけて我々の到着を待ってる感じで。だからどんどんフレームができていきました。

 エンジンに関してもこの地区ではミナレリとモリーニという素晴らしいモノが安く、たくさん手に入りました。シートも、ギアも、ブレーキも、タイヤも、全てがここで揃っていましたね。

 フェラーリやランボルギーニにしろ、それを支える下請け企業が無くてはあれだけのものは作れません。そういう意味では、ここは天国でした。あの頃は作れば売れた時代だったので作って売る、売れて作るの繰り返しでした。

マラグーティ社ではどんな感じでスクーターが開発されていくのでしょうか?

マラグーティ氏: まずはスクーターの大事なポイントを決めます。スポーティなのか、それとも我々がソファースタイルと呼んでいる、リラックスして乗るタイプなのか、その他にも感覚でいろいろ要望を出して行きます。モダンな感じとか、ちょっとレトロとか、シティースクーターっぽくとか。

 それを元にしてデザインセンターのデザイナーが起こしてきた何種類ものスケッチを、息子のアントニーノと美術担当のフランチェスコ・ミケランジェリが選んで更に細かい要望を出していきます。そして、大まかに決まったところでモデルを作り、原寸のモックアップを制作します。と、ここまでは良いのですが、この後が結構かかります。今日もさっきまで新型車のモック写真の細かいところまでイジっていたところです。

その新型車の写真、拝見できますか?

マラグーティ氏: さっきまで写真がそのへんにありましたが・・・でもまだカッコ悪いから、何と言うかとてもカッコ悪かった。お見せしてもしょうがないです。

マラグーティ社長 レアルコ・マラグーティ氏インタビュー

マラグーティ本社にて変化の激しい二輪業界にありながらマラグーティのF12ファントムは実に10年間モデルチェンジしてないわけです。イタリアであれだけ売れたモデルで、毎日見慣れているのに、これは驚異的なことではないでしょうか。

マラグーティ氏: 本当に美しいものに飽きはこないのでしょう。もちろん美しさの基準はそれぞれですが。

先ほど拝見した500ccのビッグスクーター、SPIDER MAXはMADISON系統のデザイン、昆虫的なコンセプトだと思えるのですが。

マラグーティ氏: 私にはセクシーな女性に見えますけどね。見方は人それぞれですね。

マラグーティ社長 レアルコ・マラグーティ氏インタビュー

このデザインですから日本で発売されたらとても話題になるでしょうね。但し日本向けにはシート高を低くしないと・・・マラグーティ社のモデルだけでなくヨーロッパスクーター全般に言えることですが。

マラグーティ氏: 日本のユーザーからそういう要望があることは理解しています。しかし、マディソン・F12ファントムのスポーツ性は、高い重心位置が重要な役割を果たしているのです。

 シートが高いことにより、まず視界が広がり、いち早く周囲の状況を把握できるのと共に、迅速な危険回避が可能となります。また、車体の重心位置を高くとることによって、コーナーリングの際に、車体と路面の間に余裕あるクリアランスを確保できます。これはスクーターをスポーティに楽しむ上で重要な要素と考えております。

 足つき性という面で言えば、確かに悪くなりますが、停車時に腰を前方にずらせば特に問題はないと考えます。走行中に足がステップにしっかりつくのであれば大丈夫でしょう。

 そもそもマディソン/F12ファントムシリーズは、他のヨーロッピアンスクーターよりシート下スペースを広くとっておりますのでシート高を低くすことも構造的に容易ではあります。しかし、スポーティーな走りと安全性と言う、一見相反するメリットを実現するために現在のシート高としているのです。

なるほど、この辺の方針というか哲学もマラグーティならではですね。さすがイタリアメーカーと言った感じです。

マラグーティ氏: なによりシート高が高いスクーターは、乗ってる人の足が長く美しく見えますよ。特に女性にオススメですね(笑)。

インタビューを終えて

大きなテーブルに様々なおもちゃ、置物、目覚し時計、ライター、お菓子のおまけ、数々のトロフィーと言ったものが並べられ、ほかのテーブルには航空機の模型が20機ほど満載されている社長室でウィットに富んだ語り口で熱心に話すレアルコ・マラグーティ氏。正に少年の心を持った大人という感じの人でした。

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