輸入スクーターを楽しもう!

Vol.07 ベスパ GTS250ieで街乗りを楽しもう!

ベスパ GTS250ie ベスパブランドでは初の水冷インジェクションエンジンを搭載したモデル、GTS250ieで都内を走ってみました。そのデザインと共に乗り味も個性的なベスパですが、最新モデルではその辺のところがどうなっているか、街乗りでの使い勝手と合わせてレポートしてみたいと思います。

報告者:戸塚 優

第一印象、ポジション、取り回し

まずはいかにもイタリアンスクーターといった鮮やかな車体色と、250ccながらコンパクトなボディーに目が行きました。「これなら渋滞時もそんなに苦労しなくていいかな?」と思いつつ跨ると、ステップ部分の広さを感じました。身長180cmの私は、国産車より大柄なポジションのモデルが多い輸入スクーターでも、足元辺りに若干の窮屈さを感じるものが多いのですがGTS250ではそんなことはまったくありませんでした。特にグローブボックス下、つま先を置く辺りに深いえぐれをとってあるので足をゆったりと伸ばして乗車することができます。

シート高はイタリア車らしく高めかつ幅広で、国産スクーターと比べて足つき性が良いとは言えません。しかし、後ほど詳しく述べる車体の高い安定度のおかげで、足をつく機会の多い渋滞路でもそう苦労することはないでしょう。サイドスタンドも標準装備されていますので170cm以上の身長があれば足つき性を気にする必要はありません。

250ccスクーターの割にはコンパクトな車体で取り回しは楽です。歩道などを押して歩くときでも上体に力を入れることなくスッと進んで行くような感じです。特にPXシリーズにあった押し歩きの際に車体後部が振られる感じや高い位置にある重心による扱いづらさは全くありません。加えてハンドルの切れ角も大きめですので女性にも扱いやすいでしょう。この辺の扱い易さはさすが最新のVESPAと思わせるに充分なものです。

車体特性、エンジンフィーリング

ベスパ GTS250ie メーターパネル そんなことを感じつつ、エンジンをかけ、まずは立川市へと出発しました。エンジン音は「トルル・・・」といった感じの静粛性の高いもので、下水道が詰まったような音を撒き散らすビッグスクーターとは一線を画すものがあります。
アナログ/デジタル表示のメーターパネルはすっきりとしたデザインで見やすく、ベスパによくマッチするものです。回転数表示の部分がやや小さいので乗り始めたときは「ちょっと見づらいかな?」とも思いましたが数字ではなくグラフ表示で直感的に把握できるのですぐに慣れてしまいました。

真っ赤な最新型のベスパはやはり注目の的でした。チラリチラリとこちらを見る若い人はさほど意外ではなかったのですが、立ち止まってジーッと熱い視線を送るスーツ姿の40代以上のサラリーマンが多かったのには意外でした。一目で国産ビッグスクーターとは違うと分かる真っ赤なボディーと、「Vespa」のロゴの神通力は若い人だけでなく年配の方に有効な様です。

甲州街道に入った途端、この時間には珍しく結構な渋滞に出くわしました。「早速渋滞時の走りを試せるな」と思いつつ、まず感じたのはGTS250の低速時での安定度の高さです。
エンジン回転数3000rpm、時速で言えば10km/h程度の極低速で進むときも車体がブレたりせず安定して進むことができます。前を行く125ccスクーターが両足をステップからおろしてバランスをとったり、足をついたりしながら走って行く中、ベスパ GTS250はそのままの乗車姿勢で悠然と進んでいくことができます。
先程、足つき性はイマイチと書きましたが、低速走行を強いられる渋滞路でも頻繁に足の上げ下ろしをする必要のない安定性を持っているので、片足のつま先さえ地面につけば都内の走行でも問題はないように感じました。

狭い道もスイスイと

幹線道路としては狭い道幅の甲州街道でもGTS250ieはコンパクトな車体で、信号前で停止している車の脇をすり抜ける際なども、余裕を持って進むことができます。もっとも、ベスパに乗っていると、街で見かける125ccスクーターや国産ビッグスクーターのように無理なすり抜けをする気にはならなくなりますが。

中央道 調布入り口辺りでようやく渋滞も終わったのでペースを上げて走ってみることにしました。アクセルの反応はスムースで、右手に力を入れることなく加速していきます。エンジンの回転数を上げて走っても車体の振動は少なく、メーターで確認しないと今、自分が時速何キロで走っているのか把握しずらいくらいです。

4500rpm辺りから更にスムースな加速を見せてくれるので、調子に乗ってアクセルを開け続けるとメーターを見てビックリすることになってしまうかも知れません。
元々安定度の高いピアジオ クオーサーエンジンにインジェクションを採用したからなのでしょうか、とにかく走行中の安定度が高く、自然に椅子に腰掛けたような乗車姿勢で、力むことなくリラックスして走ることが出来ます。空いた甲州街道を走っているときでも「このまま高速道路を走ってみたいなぁ」と思ってしまうほどでした。

国産スクーターの楽ちんさ、イタリアンスクーターの快適さ

ベスパ GTS250ie このように書くと「なんだ、結局国産ビッグスクーターと似た乗り味なのか」とお思いになってしまうかも知れませんが、全くの個人的意見ながら、上記の国産スクーターはどこか乗用車志向といいますか、スクーターの乗り味を車のセダンなどに近づけた結果の楽ちんさであり、その目指すところはオートバイでもスクーターでもない別のものとしての進歩であるように感じるのです。

一方、ベスパ GTS250ieの快適さはあくまで二輪車としての走行性能を向上させた結果のように思えます。よく走り・よく曲がり・よく止まる。GTS250ieの快適さが、この二輪車としての基本を向上させた結果であることは、実際に乗っていただければおわかりいただけることでしょう。

「よく走り」の加速のスムースさについてはもう触れましたが、「よく曲がり」のちょっときつめのカーブに進入する際も、気負って重心移動することなく自然な姿勢で進んでいけて、「よく止まる」のブレーキも、輸入スクーターにありがちな「ガッ!」と効くタイプのものでなくスムースなフィーリングで安心できるものです。

ベスパならではの様々な個性

こうして見てみると国産スクーターの進歩の仕方に比べて、イタリアンスクーターの代名詞でもあるベスパの進歩の仕方はやや古臭く、当たり前過ぎるものなのかも知れません。
しかし、そんな二輪車・スクーターであることに拘った末のベスパの進歩の仕方は、いかにも頑固なイタリア職人気質を感じさせてくれるようで、ただ快適なだけのスクーターとは違った楽しさ・奥深さを感じさせてくれます。

事実、安定した走行性能を持ちながらも、GTS250ieには片持ちフロントサスペンション採用ゆえのステアリングのクセなどがあります。もちろん走行には支障はありませんが。他にも、高いシートやゆったりとしたステップなどのベスパの伝統を尊重した結果、最新モデルであるGTS250ieの中にもイタリアンスクーター、そしてベスパとしての個性をいたるところで感じることができます。

伝統あるイタリアンスクーターとしての個性

GTS250ieの本当の魅力は、実はベスパならではのデザインでも、高い走行性能でもなく、毎日の何気ない街乗りの中でもイタリアンスクーターとしての個性をそこかしこに感じられることなのではないかと思ったくらいです。

水冷インジェクションエンジンを搭載したベスパ GTS250ieは、OHV Vツインで有名だったハーレーダヴィッドソンの水冷エンジンモデルV-ROD、ボクサーツインエンジンで有名だったBMWの直列4気筒エンジンモデルのK1200Sと同じようにベスパというブランドの個性を殺すことなく、最新のテクノロジーを投入し進化したエポックメイキングなモデルなのだということを感じずにはいられません。

そんな高い走行性能とベスパならではのデザインと存在感を持つGTS250ieは、ベスパファンや輸入スクーターファン以上に、国産ビッグスクーターにしか乗ったことのない方におすすめできる1台です。コネクティングロッドではベスパ GTS250ieの試乗車をご用意しております。最新イタリアンスクーターの乗り味をぜひ体験なさってみてください。

○走行データ

・使用車両:ベスパ GTS250ie

・走行:東京 世田谷〜立川〜豊島〜恵比寿〜杉並 ・走行距離:約114km ・消費燃料:4.65リットル

・燃費:24.5km/リットル (※燃費は走行条件や乗り方によって異なりますので参考程度としてください。)

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